十年に一度行われる特別な祭の夜、子供は金の鈴のかんざしをつけた女に会う。
女は竜に捧げられた生贄の巫女だった。
「お願い、音だけでいいの。―音だけは、どうか聴かせて」
ディノ・バクーニは、くたびれた喫茶の主人である。
ある日、サックス奏者として名高いエドラ・ハムから、喫茶で演奏をさせて欲しいとのオファーを受ける。疑問に思いつつディノは承諾したが、エドラの音を聴かせて欲しいという女が店を訪れる。
神木として讃えられる桜の木に住む鬼、桜(さくらの)と、そこに集う鬼達。月満ちた夜に訪れる人間が願うのは、根本に埋めた「それ」が帰ること。
「お化けがいる」と気味悪がられる城に、三人は住んでいた。
人間の町でお祭りがあると聞き、しかもそれはいたずらするとお菓子をもらえるという。トールは人間を驚かそうと城を出るのだが…。森で迷った子供と交わした短いやり取り。長編キャラの出張短編。
幼き日に視えたあの人がくれた贈り物。
空高くで一人、星と地上を見下ろしていた屑(クズシ)は、零(コボシ)という星と友達になる。他愛ないお喋りをして過ごした二人だったが、零は世界中の灯を集めるために地上に降りていく。
霧深い野に建つ家に住む九人の住人達。
彼等は明日、この家を発たなければならない。
文芸誌投稿作品。(原稿用紙63枚程度)
国語の先生が提案したのは"手紙を書く"ことだった。
便せんを目の前に一文字も書き進めることが出来ずにいた平太(へいた)には、言葉には出さない他の悩みがあった。
知っている。その恐ろしさと、醜悪を。
(「花降る春に帰りては」の既読をお勧めします)
(わたしは、おとうさまを待っています。)
「わたし」は父の帰りを家で待ち続ける。ブランコに乗って。
※R16指定 残酷および性的描写を含みます。